Jトラスト インドネシア事業 千葉専務の動画を見た感想
こんにちは、長期投資家のカボス( @olivetrhm)です。
6月28日に千葉専務の動画がアップされましたね。
動画を見た感想について述べたいと思います。
Jtrust インドネシア事業の黒字化の道筋は!?
まず開口一番で千葉専務から力強いお言葉がありました。
その根拠は後述しますが、株主としては安心材料です。
というのも2019年3月の決算動画にて、
藤澤社長がインドネシア事業の黒字化の見通しを説明時、
こんなコメントがありました。
来期(2020年度)でどこかのタイミングで単月で黒字化できる見込みだが、最悪、来年の12月までに間に合わないかもしれないと千葉から説明を受けている。ただ長年彼と付き合っていて、その感覚を見ていると割と慎重に発言するので、来期中には(単月)黒字化できると思っている。
藤澤社長は千葉専務のことを保守的に発言する人間だと思っている。そんな千葉専務が【もう大丈夫】って言ってくれるのは信憑性がありそうだね。
インドネシア事業の現場状況について
千葉専務が失敗の要因について説明している時、現場のリアリティある話を伺うことができました。
インドネシアのスタッフに何か質問すると【ティーラーパーパー】(大丈夫)とすぐ答え、どんなことでも大丈夫と回答が来るので、
インドネシア語で【大丈夫じゃない】って言葉はなんていうのか確認したら、そんな言葉はないって言われました。
現地に行ったことがある人ならではの体験談だと思います。
私も過去、上海に駐在していた経験があり、中国人スタッフに仕事の進捗などを確認すると【メイウェンティ】(問題ない)と即答されていました。
ただ、数日、数週間たつと問題が表面化し、トラブルにつながるということを何度も経験しました。
そのあと悟ったのは彼らは決して、嘘をついているわけでなく、
私が質問したその時点では本当に問題はなかった、
だから問題ないと答える。
ただ、その先の未来がどうなるか、潜在的リスクまで加味して、問題があるかどうかは考えていないということ。
なので、その苦い経験をしてからは、【問題ない】と回答があっても、
【(今の時点では)問題ない】と解釈し、その問題ないという根拠は何なのか、必ず説明してもらうようにしました。
このような経験から千葉専務の【みんなティーラーパーパーと言う】という話は非常に共感を持つことができました。
この国民性なのか、社風なのかわかりませんが、ティーラーパーパーに潜むリスクを精査する人間がいなかったのがJトラストが大量の不良債権を抱えてしまった一つの要因なのかもしれませんね。
その反省から改善策の一つがこれだと私は解釈しました。
すべての支店に監視担当者を配置し、彼らは下記のようなことをされているようです。
・社員(融資担当)が顧客と契約後、監視担当者が顧客のところに出向き、社員がきちんと契約内容を説明したのか、不手際はなかったのか、虚偽の説明はなかったか
・延滞している顧客に対しては、支払ったのかどうか確認
このようなリスクマネジメントを強化する施策は韓国では先んじて行われています。
結果的に韓国では顧客満足度を向上につながり、【ファーストブランド大賞】を4年連続大賞を受賞しています。
このブランド力をあげる成功体験をインドネシアで横展開しているんですね。
インドネシア事業の改革が遅れている要因は?
韓国では2年半で黒字化を果たせたのに、インドネシアでなぜ遅れているのか、
その理由についての説明もありました。
①人材を派遣したくても就労ビザがなかなか下りない。(銀行の役員をやる場合、他国で5年以上の銀行に勤めた経験がないと申請すら不可)
②会社の組織図変更ですら、金融庁の承認が変更、しかも申請は一年に一度(例外あり)
③担保にとった不動産を競売にかけて売却しようと思っても5年かかる
④訴訟額にかかわらず、5,000円で誰でも訴訟が可能なため、訴訟が乱発する。
個人的に②は驚きですね。100歩ゆずって届け出ならばわかりますが、
承認を得る必要があって、且つ、一年に一度しか申請タイミングがないなんてスピード感を持った改革は非常に難しいですね.....
モバイルバンキングシステムリリースも足かけ3年経って、ようやく金融庁の承認が下り、やっとリリースできるのかなと思ったのですが、今度は中央銀行からの承認が必要なんて、日本だとあり得ない進展の遅さですよね。
時間はかかりますが、進捗はしているので待つしかないですね。
以前、モバイルバンキングをリリースがされることによって、預金金利を1%は下げることが可能だと説明されておりました。
1,000億円の預金額に対して1%金利が下げれば、年間10億円のコスト削減につながりますので、インパクトは大きいです。
今後、貸付額は爆発的に伸びるか?
今年は土台を固める時期なので、積極的な貸付は行っていません。
今後どうなるのか、非常に気になるところですが、期待できる発言をされておりました。
現時点で新規の貸付額は月間8億円程度なので、仮に10倍となったら、80憶円です。
これは意気込みに近い発言ではありますが、来年は外部環境はJトラストにとって、追い風です。
とある財閥のトップとの対談の際、こんなことを言われたようです。
インドネシアの銀行は来年からすべてIFRSが適用になる。
(会計基準変更により)引当金が多く積む必要があり
来年から国営企業も含めて、(業績が)酷いことになる。
それを受けて、千葉専務は他行が貸し渋る、このような時代こそ、Jトラの力を最大限発揮できる(貸付を多く伸ばせる)チャンスと捉えているようです。
確かにJトラストはすでに多額の引当金済みで影響はないので、
優良案件が舞い込んでくる確率は向上しそうです。
外部環境が良くなることに加え、Jトラはオリンピンドというノンバンクを手に入れています。
自動車、農機具といったローンの貸付が可能なので、貸し倒れが発生しても、換金性が高い担保なので、以前のJトラの貸付方法とは全く異なります。
以上の説明を受け、個人的感想は【もう大丈夫】だと思いました。
今年までにリスクマネジメントの強化という基礎固めをしっかり行い、
その基礎の上に来年は加速度あげて、優良債権を積み上げる。
さすがに来年貸付額を10倍まで増やせるとは思っていませんが、単月の黒字化は達成できると信じています。
本当にこれからが面白い会社ですね。