【初心者向け】株式投資で知っておくべき"自社株買い"って何!?
こんにちは、長期投資家のカボス( @olivetrhm)です。
今日は株式投資をする上で、知っておくべき、自社株買い について、ご説明したいと思います。
株式投資初心者でも知っておくべき、【自社株】とは!?
まずは概要をお伝えをします。
自社株買い:
企業が発行した株式を、その企業が市場の時価で買い戻すことをいいます。
買い戻すことにより、一株利益の算出の際に、基となる、株式数を減らすことができます。その結果、1株当たりの利益や資産価値を向上させることになり、PERなどの経営指標を良くすることができるのです。
さらに投資家にとっては1株当たりの配当金の増加などが期待できます。
ちょっとこれだけだと、どんなメリットがあるのかわかりにくいと思うので、今回は上記赤字部分について、分かり易く説明していきたいと思います。
自社株買いによって、なぜ、PERなどの経営指標が向上するのか!?
まずはこちらの表をご覧ください。
自社株買い前と自社株買い後でPERなどの指標にどのような変化があるのか、まとめました。
わかりやすいように数字は小さくしております。
上場企業A
株価は100円
当期純利益は10百万円(1千万円)
自己資本は100百万円(1億円)
こちらの例は、上場会社Aが当期に稼いだ1千万円をすべて、自己株の取得に使ったとします。その結果、発行済み株式数が1百万株⇒0.9百万株(10%減少)となりました。そうすると、投資家にとって、重要指標の変化として赤枠の部分です。
①PER(株価収益率) :10倍⇒0.9倍
②ROE(株主資本利益率):10% ⇒11%
株価は需要と供給にかなり影響を受けます。
そのため、自社株買いによって、市場に出回っている株数(供給)が減ったことにより、一株あたりの価値は向上します。
今回のケースでは株数(供給)が10%減りましたので、一株あたりの株価は10%あがるということが理論上、考えられます。
結果的に、自社株前の企業AのPERは10倍で推移しておりましたが、自社株買いによって、一時的にPER9倍になったしても、PER10倍になるよう株価は収斂(シュウレン)していきます。
ほとんどのケースで自社株買い発表後、翌朝の株価は買いが集中して、自社株買い発表前の株価で購入できることはありません。
それじゃあ、これから新規で購入しようと思っている投資家にはあまり意味がないことなの!?
そうとも限らないよ。もちろん、短期的に売り買いする場合、自社株買いによる利益は自社株買い発表前に買っていないと意味がないけど、長期的にみると、メリットがあることなんだ。こちらの表をみてほしい。
この表はさきほどの上場企業Aが年間当期純利益20%増で推移したと仮定して、
PERが15倍まで上がった場合の株価の比較表(自社株買い実施前と後)です。
注目すべきは、赤枠の部分。純利益の増益幅は同じなんだけど、株価の上昇幅がどんどん広がっているよね。発行済み株式数という分母が少なくなっているから、当たり前といえばそうなんだけど、とかく、自社株買いは短期的な株価上昇に目が行きがちだけど、長期的に見ても、株価上昇に効果的な施策なんだよね。
自社株買い実施後、配当額が増額の可能性は高い!?
次は異なる観点から、自社株買いによるメリットをご説明したいと思います。
それは自社株買い実施後、配当額の増額の可能性が高くなるということです。
可能性が高くなるということは、絶対ではないよね!?
そうだね。絶対ではないし、銘柄を選ぶ必要がある。その銘柄の選定状況として、配当性向を明確に決めている会社だね。
配当性向については下記の通り。
配当性向:
その期の純利益の中から、配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで表したものです。
計算式は、以下のようになります。
【配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの純利益×100】
つまり、会社が1年間で儲けたお金からどれだけ配当金として株主に還元しているかは、配当性向を見ることでわかります。 配当金額から企業を評価する指標としては、配当性向の他に、配当利回りなどがあります。
上場企業の配当性向は大体20%~30%程度です。
例えば、上場企業Aの配当性向が30%だと仮定します。
配当性向30%ということは、一株あたりの利益の30%が配当額になるということです。
そのため、上記表の通り、配当額の増加幅も上昇するということです。
投資家によっては、配当利回り(株価に対して、配当金がいくらもらえるのか)で、
銘柄の選別もする方もおりますので、そのような方にとっても、メリットがあります。
結果として、それも買い需要に繋がり、株価上昇圧力になります。
自社株買いとは投資家にとって、メリットしかないのです。
【補足】初心者必見!一株あたりの株価は発行済み株式数から自己株を除いて算出
結構、勘違いされやすいのですが、一株あたりの株価がどのように計算されるのかを、
ご説明します。
こちらはJトラストの2018年3月期の決算短信の抜粋です。
期末発行済株式数(自己株式を含む):112,596,710株と表記があります。
今期業績予想は5,318百円(53億円)
実際に計算してみましょう。
5,318 ÷ 112.59百万株 = 約47円(一株あたりの株価)
1株あたりの株価が47円になってしまい、決算短信上の【51,64円】とは全く異なる数値になってしまっております。
理由は簡単で、発行済株式のうち、自己株式を除いて計算すればいいんだ。
つまり、下記の計算式が正となります。
5,318 ÷ (112.59 - 9.598)百万株 = 51.64円(一株あたりの株価)
自社株買い実施後、金庫株として、保有していたとしても、
一株あたりの株価は上昇し、PERなどの指標も向上するということを覚えていただければと思います。